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胃カメラは口から?鼻から? 鎮静剤は使う?使わない?どっち?②

<鎮静剤の使用について> 前回に引き続き、今回は鎮静剤についてのお話です。 前回、胃カメラでは「のど」が刺激され反射で苦しくなるというお話しをしました。 実際、胃カメラはどのように苦しいのでしょうか? 実体験をもとに説明しますと、 口からの場合は舌の根元が刺激されてオエっとしたり、喉頭が刺激されて咳込んだり、食道の入り口を入るときにウっとなったりします。 鼻からの場合には舌の根元には触れないのでオエっとせず、喉頭も刺激されることは少ないのですが、鼻が少しつーんとしたり(インフルエンザの検査などで鼻に綿棒と入れられるのと同じ感じです)、食道の入り口を入るときのウっとする感じはあります。 口でも鼻でも食道に入ってからは、食道や胃を広げて観察するために空気を入れるのですが、この空気でお腹が張って、げっぷしたいような感じになったりします。 また、胃の中でカメラが動く際、胃が押されるような感じがしたり、ゴロゴロうごくような違和感があったりします。 一般的に一番つらいのは「のど」を通り食道に入る時とされていますが、反射の強い私の場合は「のど」を通る時も空気を入れられるのも胃の中でカメラが動くのも全てそれぞれつらいと思ってしまいます。 そのすべての苦痛を和らげてくれるのが鎮静剤です。 つらさを少なくする挿入のテクニックも色々ありますが今回は割愛します。 よく勘違いされる方がいますが、鎮静剤と表面麻酔は全く別のものです。 まず表面麻酔は麻酔薬が入ったとろみのついた液(キシロカインビスカス)を「のど」や鼻の穴に直接注入、塗布する処置です。この表面麻酔が潤滑剤ともなり胃カメラの擦れによる痛みが少なくなり、「のど」の反射も少し軽減されます。 全身への影響は少ないためこれは原則すべての方に行う処置となります。(麻酔薬へのアレルギーのある方は除きます) ただ、これは鼻あるいは口から「のど」に表面的にしか作用せず、食道に入ってからのつらさも軽減されません。 本題の鎮静剤は静脈に針を刺し、鎮静剤のお薬(ミダゾラムやプロポフォールなど)を注射し、意識がぼーっとした状態にすることで「のど」の反射が少なくなり、食道に入ってからのつらさも軽減される、というものです。 この鎮静剤は全身麻酔でも使われるお薬のため過量に使用すると意識が低下するだけでなく心臓や呼吸への悪影響もあるため、きちんと患者さんの状態を

胃カメラは口から?鼻から? 鎮静剤は使う?使わない?どっち?①

  胃カメラの説明をする時、必ず選択していただくのは口、鼻のどちらから入れるか、鎮静剤を使用するかどうかです。 しかし、特に胃カメラを初めて受ける方は胃カメラがどの程度つらい検査かの経験がないため選択を求められても???になってしまうことでしょう。 今回はそのような患者さん向けに選択の助けになるようなお話しをしたいと思います。 <胃カメラの挿入方法(口or鼻)について> 人は舌根部(舌の根本)に刺激があるとオエっとしたり、喉頭部(声帯に近い部分)に刺激があると咳込んだりします。 これは体の中に異物が入ってこないように、あるいは異物を出すためのある意味自然な反応(反射)です。 一方で、胃カメラはこの「のど」の反射がある部位を多少刺激するためどんなに上手な医師が行ってもある程度の苦痛が生じます。 私自身、胃カメラを患者さんにするのは得意でも受けるのは実は苦手です。反射がとても強いためです。 しかし、だからこそ患者さんがどこでつらいのかがわかります。 口からでも鼻からでもどこでつらいのか、できるだけつらくなくするためにはどうすればよいかの経験、ノウハウがあります。 では、口からあるいは鼻からどちらから入れるのが良いのかそれぞれの特徴を簡単に説明します。 ・口からの胃カメラについて 口から入れる最大のメリットはスペースが広いためどんな種類の胃カメラも入れられることです。 例えば、拡大機能の付いた画質の良い太めのカメラや内視鏡手術を行うためのカメラ、超音波装置のついたかなり太いカメラなどです。 このため口から入れる場合にはカメラと処置の道具さえあればどんな検査や処置も可能です。 デメリットは反射が起きやすい部位(舌根部)を通るためオエッとしやすいことです。 ただし口からの胃カメラのつらさはカメラの太さに比例します。 カメラが太ければ太い程「のど」へ接触する面が増えますので刺激が強くなります。 逆に口からでも細いカメラであればつらさは軽減されます。 ・鼻からの胃カメラにういて 鼻から入れる最大のメリットは2つです。舌根部を刺激しないためオエっとしにくいこと、「のど」の観察がしやすいことです。 そしてデメリットも2つあります。細いカメラを使うため画質がやや落ちること、できる処置が限られることです。 昔は鼻からの細いカメラは画質がかなり悪く、患者さんが少し楽になる程度で他のメリット