内視鏡検査の質について

 一口に内視鏡検査と言っても、実は用いる内視鏡の性能、医師の技量により検査の質は様々であることはご存じでしょうか? 内視鏡の性能については使用している内視鏡の機能をホームページなどで表示している医療機関も多く、これは参考になります。では医師の技量についてはどうでしょうか。内視鏡の専門医の資格を持っていることや優れた経歴は一つの指標にはなりますが、必ずしも専門医資格を持っていなくても素晴らしい技術を持った先生はいらっしゃいますし、専門医の資格があっても消化管の内視鏡が一番の専門領域ではない先生もいらっしゃいます。

では患者さんはどのように内視鏡を受ける医療機関を決めれば良いのでしょうか?

結論から申しますと、初めてある医療機関で内視鏡検査を受ける場合、事前にその医師の内視鏡技量、内視鏡検査の質を推し量るのは難しいと思います。検査中も、鎮静剤(麻酔薬)を使用し、記憶が無くなっているような状況では自分がどんな検査を受けたのか確認するのは猶更困難となります。

患者さんにご理解しておいていただきたいのは、楽な検査・短時間の検査は必ずしも質の高い検査とは言えないということです。 例えば胃内視鏡で喉を通るときのオエっとする感じは医師の技量により軽減できるものの、どうしてもゼロにはなりません。現在は比較的細くても高画質な内視鏡も普及しており、鼻からの内視鏡、鎮静剤を使用した内視鏡も行われておりますので以前に比べれば医師の技量によらず大分「楽」にはなっていると思います。

一方、病院などでの精密検査の場合にはより高画質な太さもある内視鏡が必要となる場合があります。太さのある内視鏡を用いると物理的に喉への刺激は強くなりますのでオエっとする感じが強くなり、鎮静剤の使用が必要になることも多くあります。このような検査は決して「楽」な検査ではありませんが高画質な画像で病変を観察することでより質の高い検査が可能となります。 時間に関しても、手際よく見落としがなく短時間で検査を行えれば苦痛も少なくベストです。しかし、手際が悪く時間がかかってしまうのは論外として、手際が良くてもあまりに短時間の観察では医師も人間ですから見落としが発生しやすくなります。私は内視鏡検査は、病変が無いことを確認するためではなく、あくまで病気を発見するために行っているのだという意識が重要と考えています。つまり正常に見えても病気がどこかに隠れているはずだ、という目でくまなく観察を行うということです。

このため質の高い内視鏡検査には性能の担保された内視鏡を用いていること観察には必要な時間をかけ、十分な観察を行っていることが条件と考えております。 こんな当たり前のことを、と感じる患者さんも多くいらっしゃるかもしれません。しかし、残念ながら現在、内視鏡検査の質には大きなばらつきがあるのが現状です。

このため、患者さんが自分の受けた内視鏡検査の質を確認するためには、事前に内視鏡の性能を確認しておくこと、検査後に内視鏡の画像を見せてもらった際にぼやけていないきれいな画像がたくさん写っているかを確認することがひとつの参考になると思います。

当院では胃内視鏡では細く検査の苦痛が少ないながらも画質のある程度担保された内視鏡を使用しており、大腸内視鏡では拡大観察機能のついた精密検査、治療にも十分堪えうる内視鏡を使用しております。また、検査には必要十分な時間を確保し見落としの少ない検査を心掛けております。尚、ご希望の方には鎮静剤を使用することでより楽に検査を受けていただくことも可能です。検査後の説明も画像を患者さんと一緒に供覧しながらできるだけ丁寧に行っております。

症状のある方や検診で異常が言われた方はぜひ当院での内視鏡検査をご検討いただければと思います。

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